2020年2月4日の『名医とつながる!たけしの家庭の医学』では、『冬の突然死を防ぐSP』が放送されました。
この記事では、生死を分ける分岐点とは?名医の症例ドラマ②血管の病についてまとめます。
致死率90%の病とは?
症例ドラマ②では、60歳を過ぎると急増する病について取り扱っています。
体内で成長する「静かなる爆弾」とは?
ひとたび爆発すれば、致死率90%と言われる恐ろしい病なのです。
ところが生死を分ける分岐点に気づけたことで、突然死を回避できた方がいます。
東京都在住の宍戸紀雄さん(69歳)は今から5年前その病にかかり、病院ですぐ手術することになったそうです。
宍戸さんの場合、体内の時限爆弾は爆発まで6ヶ月でした。
宍戸さんを救ったサインとはいったい何だったのでしょう?
生死を分けた分岐点① 高血圧を放っておいた
2015年3月、都内のハイヤー会社で運転手をしていた宍戸さん。
当時の担当はIT企業の社長だったため、忙しい毎日を送っていました。
この頃宍戸さんの体内には、ゆっくりと大きくなる時限爆弾が仕掛けられていました。
一番の楽しみは休日に息子夫婦の家を訪ねることでした。
もともと宍戸さんの持ち家でしたが息子夫婦に譲り、自分は外で一人暮らしをしていました。
その訳は…10年前にガンで奥さんをなくした宍戸さんは、妻との思い出に囲まれてこの家で暮らし続けることが辛かったそうです。
そんな宍戸さんを息子の妻・陽子さんは、とても気にかけていました。
亡くなった奥さんが病気になったころ陽子さんはすでに同居しており、「もっと早く私が気づいてあげていれば…」と後悔の念を抱えていたそうです。
宍戸さんに塩分を控えるようにと心配する陽子さん。
数年前に高血圧と診断された宍戸さんですが、「医者に注意されるのが嫌」という理由で定期健診をさぼっていました。
生死を分けた分岐点① 高血圧を放っておいた
高血圧をコントロールできれば、病の進行を止められたはずなのに…
病のサイン① 突然声がかすれた
宍戸さんに起きた最初の異変は、奥さんのいない寂しさを紛らわせようと通っていたスナックでカラオケを歌っている時でした。
病のサイン① 突然声がかすれた
歌のクライマックスに差し掛かった時、突然声がかすれてしまったのです。
高音のサビにくると、また声がかすれてしまいました。
これこそ体内の時限爆弾が大きくなっている証拠でした。
生死を分けた分岐点② 飲み込みにくさを放置
爆発まであと5ヶ月。2週間後、病魔から次のサインが送られてきました。
この日は特に忙しく、仕事が終わったのは夜中近く。会社の事務所で、遅めの夕食をとることにしました。
まずはお茶で喉を湿らそうとしたのですが…
病のサイン② お茶が飲みこみにくく喉につかえる
水分をとろうとすると、喉に突っかかって飲み込みにくさを感じたのです。
しかし「年のせい」と深刻にとらえず、病院にもいかなかったのです。
生死を分けた分岐点② 飲み込みにくさを放置
これが2つ目の分岐点でしたが、宍戸さんは誤った方向へ進んでしまいました。
病のサイン③ 喉に違和感があり声がガラガラに
1か月後、宍戸さんの声に変化があらわれます。
社長を送り届けた宍戸さんは「迎えは遅くていい」と言われたので、「7時でよろしいですか?」と提案し「それでいいよ」と言われました。
時間が空いたので一旦事務所へ戻ることにしましたが、社長から事務所へ「1時の迎えなのに、まだ来ていない」とお叱りの電話が。
声がガラガラだったため、社長には7時が1時に聞こえてしまったようです。
病のサイン③ 喉に違和感があり声がガラガラに
仕事に差し支えてはまずいと、ようやく内科クリニックを訪れます。
ところが大事になってはいけないと思い、声のガラガラが2ヶ月続いていることは黙っていました。
医師は病の存在に気づくことが出来ず、風の引き始めと診断されました。
こうして病を発見する最大のチャンスを逃した宍戸さん。
時限爆弾は刻一刻と大きくなり続けていました。
生死を分けた分岐点③ ガラガラ声を放っておいた
内科を受診して2週間、声のガラガラは一向に回復していませんでした。
病院嫌いなのもあり、その後2ヶ月も声のガラガラを放置してしまいました。
生死を分けた分岐点③ ガラガラ声を放っておいた
ただの風邪なら、声のガラガラは1週間もすれば治るもの。それ以上長引く場合、何か問題が起こっている可能性が高いのです。
耳鼻咽喉科を受診すれば、発見された可能性が大きかったのですが…
病のサイン④ 獣のうなり声のような寝言
息子の家に泊まった宍戸さんに、最後のチャンスがやってきます。
病のサイン④ 獣のうなり声のような寝言
息子の嫁・陽子さんが夜中に起きてみると、獣のうなり声のような寝言を発するお義父さんを見つけました。
翌朝このことを伝えられ、病院で診てもらうよう強く勧められた宍戸さんは、病院へ行くことにしました。
医師が内視鏡で宍戸さんの喉を見てみると、片方の声帯がほとんど動いていないことが分かりました。
「今すぐ心臓血管外科のある大きな病院に行ってください。一刻をあらそいます。」と言われ、街の大きな血管外科へ。
宍戸さんを襲った病とは?
致死率90%の胸部大動脈瘤
宍戸さんを襲った病は、胸部大動脈瘤でした。
【胸部大動脈瘤とは?】
胸部の大動脈がこぶのように膨らむ病
破裂すると90%の確率で死に至る
宍戸さんの大動脈には、ゴルフボールほどのコブができていました。
胸部大動脈瘤になるまでには、生死を分ける4つの分岐点がありました。
生死を分けた分岐点① 高血圧を放っておいた
高血圧になると血流が速く強くなり、強い血流が血管の壁に当たることで少しずつ血管壁がダメージを受け、コブが出来てしまったと考えられます。
生死を分けた分岐点② 飲み込みにくさを放置
喉をつかさどる神経は大動脈をくぐる形でつながっています。
そのため、大動脈にできたコブが少しずつ大きくなるにつれ、ゆっくりと神経を圧迫。
声のかすれ、飲み込みにくいといった症状につながったのです。
生死を分けた分岐点③ ガラガラ声を放っておいた
宍戸さんはこれらのサインを無視したことで大動脈のコブが喉の神経を圧迫し、声がガラガラになったにもかかわらず、放っておいたのです。
生死を分けた分岐点④ 獣のようなうなり声のような寝言
この時点で大動脈瘤は、いつ破裂してもおかしくない状態になっていました。
陽子さんの必死の訴えで耳鼻咽喉科を受診した宍戸さんは、ギリギリのところで命をつなげることができました。
声の名医に聞く!危険な声のかすれを早期発見できるテスト
教えてくれたのは、川崎幸病院 川崎大動脈センター 大動脈外科副部長の尾﨑健介先生と、国際医療福祉大学 医学部教授の渡邊雄介先生です。
尾﨑先生はこれまで750件以上の手術を執刀してきた、大動脈手術のエキスパートです。
東京都港区 山王病院内にある国際医療福祉大学 東京ボイスセンターは、声や喉の障害の診断・治療を行う日本有数の専門施設です。
耳鼻咽喉科の医師として治療にあたる渡邊先生は、ポリープをはじめとした声帯の治療の専門家で、日本を代表する声の治療の名医です。
そんな先生方が教えてくれた胸部大動脈瘤を早期発見できるテストを行ってみましょう。
胸部大動脈瘤を早期発見!15秒発声テスト
【15秒発声テストのやり方】
1.リラックスして椅子に座る
2.大きく息を吸う
3.普段話をする位の大きさで「あー」と声を出す
4.15秒間声を出し続けられればOK
もし15秒間続かない場合は?
⇒どちらかの声帯が動かず、声帯が閉じていない可能性あり
声帯が閉じていないと肺からの空気が大量に漏れ、短い時間しか発声できなくなってしまいます。
もともとかすれ声の平泉成さんの声帯は?
「かすれ声が危険」ということでしたが、もともとかすれ声の平泉成さんの声帯はどうなっているのでしょう?
先生に診てもらうと、とてもキレイな声帯をしているとのこと。
平泉さんの声帯はコンパクトに中央に集まっており、筋肉の力をわざと入れて声を出しているからかすれ声になっているそうです。
高い声⇒声帯が細くなるので隙間ができやすい
モノマネでよくされる声は高いほどハスキーさが増すので、平泉さんらしく聞こえるようです。
突然のかすれ声に要注意
風邪でもないのに突然起こるかすれ声には、注意が必要ということがわかりました。
日頃から15秒診断テストを行い、チェックするようにしたいですね。
次のページでは、日本人の突然死で最も多い『心臓の病』についてまとめます↓
【名医とつながる!たけしの家庭の医学】(2月4日)冬の突然死を防ぐSP!日本人の突然死No.1の心臓の病