2019年11月14日の『主治医が見つかる診療所』では、10歳若返るためのミネラルを摂る裏ワザ5か条が特集されました。
ミネラルといえば、カリウムや亜鉛、マグネシウムなどの総称です。
今回教えてくれたのは、東京慈恵会医科大学付属病院の管理栄養士・赤石定典先生です。
アンチエイジングにもつながるミネラルの摂取方法について、早速見てみましょう。
そもそもミネラルって何?
ミネラルはたんぱく質・炭水化物・脂質・ビタミンと並ぶ5大栄養素のひとつで、不足すると生命を維持することが難しくなるほど体に必要な栄養素です。
ミネラルは体内で作られないため、不足すると次のような症状が起こりやすくなります。
「すぐに爪が欠けてしまう」
「寝ているときによく足がつる」
「肌のシワやたるみが増えてきた」
「抜け毛がひどくなってきた」
こんな症状に心当たりがある人は、ミネラル不足の可能性が高いです。
ミネラル不足を放っておくと、内蔵が悪くなったり認知症になりやすくなったりと、若さや寿命に大きな影響を及ぼしてしまいます。
それぞれのミネラルには、主に次のような働きがあります。
●カルシウム⇒骨を作る
●鉄⇒血液を作る
●マグネシウム⇒美を維持する
●亜鉛⇒壊れた細胞を再生する
そんな重要なミネラルですが、実は日本人のほとんどがミネラル不足だそうです。
食生活の欧米化やファストフード、インスタント食品の摂りすぎが原因と言われています。
番組で調査したところ、30人中28人は何らかのミネラルが不足しているという結果に…
それぞれのミネラルを摂取するためのポイントを見ていきましょう。
骨と肌のミネラル・カルシウム
骨と肌のミネラルと言われているカルシウムは、牛乳などの乳製品に多く含まれているイメージがありますね。
カルシウムが不足が長く続くと起こる病気は、骨粗しょう症です。
全体の8割が女性患者で、50歳以上の女性の約4人に1人は骨粗しょう症だと言われています。
骨粗しょう症になると骨が弱くなるため骨折しやすくなりますが、女性にとってそれ以上に気になるのがシワやたるみの原因になる恐れがあるということです。
アメリカのイェール大学の研究によると…
100名以上の女性の顔や首など11ヵ所のシワを調べ骨密度との関係を調査したところ、骨密度が低いほどシワが深いことがわかったそうです。
カルシウムは骨を作るだけでなく筋肉や神経の働きもコントロールしているので、カルシウムが不足すると筋肉の動きに悪影響を与えてシワやたるみにつながってしまうのです。
さらに顔の骨密度が低下することで顔の骨が小さくなり、シワやたるみの原因になる可能性もあるそうです。
カルシウム不足=若さを失う原因に!
そしがや大蔵クリニック院長の中山久徳先生によると、私たちの体の中のカルシウムの99%は骨に貯蔵されていますが、残り1%は歯にあるそうです。
特に表面のエナメル質の部分にカルシウムが多く存在しているので、カルシウムが不足すると歯ももろくなってきてしまいます。
ひめのともみクリニックの姫野友美先生によると、カルシウムはインスリンの分泌にも関係しているので、カルシウムが不足すると糖尿病になりやすくなるそうです。
さらに代謝にも関係しているので、肥満になりやすくなります。
まとめると、カルシウム不足で次のような症状が現れやすくなります。
●シワやたるみの原因に
●歯がもろくなってしまう
●肥満になってしまう
カルシウムを上手に摂る裏ワザ
カルシウムが多く含まれる食材といえば牛乳を思い浮かべる人が多いですが、実はそれ以上にカルシウムが多いのが小松菜です。
<100g当たりのカルシウム量>
牛乳 110㎎
小松菜 170㎎
野沢菜 130㎎
春菊 120㎎
ただカルシウムを含む食材だけ摂っても、体に吸収されにくいという落とし穴が!
カルシウムはビタミンDと一緒に摂ることで、骨まで届くそうです。
ビタミンDが多く含まれる食材としては…
干しエビ・桜エビ・シラス干し・シイタケ・小魚
などが挙げられます。ぜひ一緒に食べて上手にカルシウムを取り入れましょう。
牛乳より…葉野菜+小魚で美肌に!
さらに骨付き肉にお酢を加えると、効率よくカルシウムが摂れるそうです。
お酢に含まれる酢酸は、カルシウムを外に出す働きがあります。
骨付き鶏肉 + 酢 ⇒ カルシウム摂取量約1.8倍に!
骨付き肉に酢を加えて、シワ・たるみ予防!
タマゴの殻にもカルシウムが多く含まれています。おすすめの摂り方は、酢タマゴだそう。
<酢タマゴの作り方>
1.生タマゴを殻付きのまま酢の中に浸けて、1週間ほど冷蔵庫で寝かす(殻が溶けてほぼなくなり、半熟のような状態のタマゴが残る)
2.タマゴの薄皮を破って取り除き、黄味をくずしながらよくかき混ぜる
3.ざるでこし、残った殻を除けば完成
作った酢タマゴは、冷蔵庫で1週間ほど保存できます。
毎日大さじ1~2杯を水や牛乳で薄めて飲めば、カルシウム不足の解消や高血圧・糖尿病の改善にも効果が期待できます。
抵抗があるなら、酢として利用するのも可能。ドレッシングに混ぜたり肉を漬けこんだりしてもOKです。
ちなみに番組主治医の札幌禎心会病院の上山博康先生によると、欧米人に比べて日本人は牛乳に含まれる乳糖を解糖する消化酵素が足りないそうです。
牛乳を飲みすぎると下痢をして、大事な栄養素を排出してしまう可能性もあります。
そこでおすすめなのがチーズです。特にカマンベールチーズやブルーチーズなどの熟成チーズは乳糖がほとんどないので、おすすめです。
ナグモクリニックの南雲吉則先生によると、カルシウムは植物の中ではシュウ酸カルシウムとして貯蔵されているそうです。
シュウ酸とはアクのことなので、おひたしなどを作る時にアク抜きしてしまうとカルシウムが抜けてしまうそう。
そのためアクのある野菜は油炒めにして食べると、カルシウムが摂れるそうです。
ただし、ホウレン草にはシュウ酸が多く含まれているため、摂りすぎると結石になる恐れも…。ホウレン草のアクには注意が必要です。
またひめのともみクリニックの姫野友美先生が注意したい点として、リンを摂りすぎないことを挙げていました。
リンをたくさん摂りすぎると、カルシウムが排出されてしまうそうです。
リンはスナック菓子・清涼飲料水・加工肉に多く含まれるので、注意が必要です。
高血圧とむくみ予防のミネラル・カリウム
「最近血圧が上がってきた」
「やけに手足がむくむ」
といった症状を感じている人は、カリウムが不足しているかもしれません。
塩分を多く摂ると水も多く摂ってしまい、むくんでしまいますよね。
カリウムには、その塩分をオシッコと一緒に排出する働きがあります。
カリウムを多く含む食材としてはバナナが有名ですが、キノコ類にもカリウムが豊富に含まれています。
<100g当たりのカリウム量>
マイタケ 230㎎
シメジ 310㎎
エリンギ 340㎎
このほかにもレタス・ブロッコリーなどの野菜類や、サトイモ・サツマイモなどの芋類、カキ・スイカなどの果物類にもカリウムが多く含まれています。
カリウムは水溶性のため、ゆでると外に出てしまいます。
そのため、みそ汁やシチュー、カレーや鍋など、スープごと食べられる料理に使えばOKです。
ミネラルを損しないための調理法
●ブロッコリーの洗い方&ゆで方
こちらの調理には、沢松 奈生子さんと藤田ニコルさんが挑戦!
ブロッコリーは切ってから洗うと、切り口から最大4割ほどカリウムが流れ出てしまいます。
ボールに水を張ってお酢(大さじ1杯)をたらし、切らずに逆さにつけると、茎の間まで水が入り込みきれいに洗えます。
お酢を入れることで、細菌を98%も除去できるそうですよ!
またブロッコリーをゆでるのはNG!
鍋に軽く水を張り、ざるを置いてブロッコリーを入れ、フタをして低温で蒸すのがおすすめ。
低温蒸ししたブロッコリーは味も濃く、野菜の美味しさも味わえます。
●ホウレン草のみそ汁作り
こちらの調理には、陣内孝則さんと光浦靖子さんが挑戦しました。
ポイントは、ホウレン草の根元の赤い部分を捨てないことが大切だそう。
土が溜まりやすい根元の部分は、4等分に切ってボールで洗えば無駄なく使えて鉄分も補給できます。
●ポテトサラダの調理法
こちらの調理には、藤田ニコルさんと岩尾望さんが挑戦です。
水溶性のビタミンCやカリウムを多く含むジャガイモは、皮をむかずに加熱することが大切です。
また鉄分・カルシウム・カリウムを多く含む皮は一緒に食べるのがおすすめです。
ただし、ジャガイモの芽には毒素が含まれるため、下ごしらえの段階で必ず取るようにしましょう。
また緑色に変色した皮には毒素が含まれるので、絶対に食べないでください。
味と若さのミネラル・亜鉛
都内在住の60代主婦・井上幸子さんは、3年前の夏頃から食べても味がしなくなり、食欲不振になりました。
秋になっても食欲は戻らず、2ヵ月で5㎏も痩せたそうです。
娘から「がんだったらどうするの?」と言われ、病院で検査を受けてみることに。
あらゆる検査をしましたが、異常なしという診断でした。
その後、異変は食事以外にも…
何をするのもおっくうになって、食事もインスタント食品で済ますことが多くなっていきました。
更に症状は悪化し、よく風邪を引くようになり、家に引きこもるようになってしまいました。
「うつ病かもしれない」と思った井上さんは、娘に勧められて総合診療科へ行ってみることに。
そこで血液検査をした結果、亜鉛欠乏症だと判明したのです。
亜鉛は組織(細胞)の再生に使われるミネラルです。
井上さんは亜鉛不足で口の中の細胞がうまく再生できなかったため、味覚障害を起こしていたと考えられたのです。
また細胞の再生がうまくいかないため、傷が治りにくくなったり、腸の粘膜の再生もうまくいかなくなり食欲不振になったりするそうです。
さらに免疫力も低下しやすいため、よく風邪を引いたり、肺炎などの感染症のリスクも高くなります。
次のような症状がでたら、亜鉛不足の可能性があります。
●爪がよく欠けてしまう
●抜け毛がひどくなった
●昔美味しかったものがまずくなった
では、なぜ亜鉛が不足してしまうのでしょう。
体内の亜鉛は加齢とともに減少していきます。さらに、インスタント食品ばかり食べていると、さらに亜鉛が不足しやすくなります。
番組ゲストの中でも、亜鉛が不足しているゲストが1人!
光浦靖子さんは亜鉛の量の標準範囲が125~155のところ、96.9と大きく下回っていました。
このまま亜鉛不足が続くと、寿命自体も短くなってしまうそう。
亜鉛は肉類や魚介類に多く含まれています。野菜中心の食生活で、過度なコレステロール制限すると亜鉛不足に。
亜鉛は野菜や豆腐にも含まれていますが、圧倒的に少ないのです。
<100gあたりの亜鉛の量>
豚肉 2.1㎎
牛肉 4.3㎎
牡蠣 13.2㎎
ホウレン草 0.7㎎
トマト 0.2㎎
豆腐 0.6㎎
またアルコールは、亜鉛の吸収を妨げてしまうことが分かっています。
そしがや大蔵クリニックの中山久徳先生によると、亜鉛不足は免疫低下をもたらしてしまうこともあり、風邪にひきやすくなります。
逆に亜鉛を十分に摂ることで、風邪を引く頻度が3分の1に減るとも言われているので、積極的に摂りたいですね。
札幌禎心会病院の上山博康先生のおすすめ食材は、しじみやアサリなどの貝類です。海藻もおすすめだそう。
亜鉛は海由来のモノに多く含まれているようですね。
秋津医院の秋津壽男先生によると、亜鉛不足が深刻な場合は薬やサプリメントで摂るという方法で症状が改善することもあるとのこと。
ただし、あるミネラルだけを過剰摂取すると他のミネラルの邪魔をする可能性もあるため、事前に医師に相談するようにしましょう。
イシハラクリニックの石原新菜先生が、亜鉛の吸収力をUPさせる裏ワザとして教えてくれたのは、ビタミンCと一緒に摂るという方法。
「酢豚+パイナップル」のように、ビタミンCをプラスして食べればOK。
肉…ビタミンCと食べて免疫力UP!
美のミネラル・マグネシウム
マグネシウムはアンチエイジングミネラルと言われ、若々しさを保つのに必要なミネラルです。
「寝ているときによく足がつる」
「まぶたがピクピクすることがある」
「すぐに息切れするようになった」
こんな症状がある人は、マグネシウム不足の可能性大です。
マグネシウムは筋肉を緩ませる働きを持っています。
マグネシウムが不足すると、血管のカベにある筋肉が縮んでしまい、血管が狭くなってしまうそうです。
この状態が長く続けば、動脈硬化により酸素や栄養が十分行き渡らなくなり、老化が進行してしまうんだとか。
逆にマグネシウムを十分摂っていれば、筋肉を緩ませて血管も柔らかい状態に保てます。
血管の健康=全身の健康
ということで、アンチエイジングに大きく関わってくるミネラルなのです。
マグネシウムが不足すると、こむら返りを起こしやすくなります。
脳や心臓の発作、不整脈の原因にもなるほど、心臓との関りも深いそうです。
またマグネシウムが不足すると、うつになりやすい、頭痛を起こしやすいということも分かっています。
番組ゲストの中にも、マグネシウムが不足している人が2人いました。
マグネシウム量の標準範囲は30.5~75.7ですが、藤田ニコルさんは27.1、沢松 奈生子さんは20.3という結果に。
スポーツ選手は汗をかきやすいため、マグネシウムが不足している人が多いんだとか。
マグネシウムは発汗によって失われてしまうのです。
お風呂で汗を流しても、マグネシウムは流れ出てしまいます。
そこでマグネシウムを摂るのにおすすめの食材が、落花生です。
落花生100gあたりのマグネシウム量は200㎎で、1日の推奨量(300㎎)の3分の2を摂ることができます。
落花生は収穫後1ヵ月ほど干して乾燥させ、カラごと炒って食べるのが一般的ですが、生産地の千葉ではゆでて食べるそうです。
圧力鍋に水を張って塩と落花生を入れ、10分沸騰させたら火を消して10分放置します。
最後にザルにあげて粗熱を取れば完成です。
ピーナッツは落花生のカラを取った中の身なので、マグネシウムを摂るならピーナツでもOK。
1日カラ付きで10個、ピーナッツなら約20粒とれば、1日の推奨量の10%が摂取できるそうです。
まほろば東京クリニックの中村信也先生おすすめの食べ方は、次の方法です。市販のピーナッツ(無塩)を使用します。
●バターピーナッツ
1.フライパンで弱火で無塩バターを溶かしたら、薄皮がついたままのピーナッツを入れる
2.薄皮がはがれないよう、優しくバターを絡ませる
3.器に盛り、塩を一つまみ振れば完成
薄皮には抗酸化作用のあるポリフェノールが含まれるので、老化予防効果が高まります。
●ピーナッツご飯
1.ピーナッツを半分に切る
2.炊飯器のお米に加え、約30分浸水させてから炊く
薄皮のポリフェノールでご飯がほんのりピンク色に染まり、香ばしい香りで食欲が進みます。
ほかにも、大豆の代わりにひじきの煮物に加えるのもおすすめです。
またフードプロセッサーで薄皮ごと砕けば、味噌汁に加えて呉汁風にしたり、ヨーグルトのトッピングにしたりできます。
唐揚げの衣に混ぜれば、独特の香ばしさと歯ごたえのある唐揚げに!
納豆に混ぜるのもおすすめだそうです。
ピーナッツ…薄皮ごと食べて老化予防!
イシハラクリニックの石原新菜先生のおすすめは、納豆にイカやマグロ、メカブなどが入ったバクダンです。
海苔に巻いて食べれば、マグネシウムをたっぷり摂ることができます。
ミネラル全部入り食材はタマゴ!
タマゴにはカルシウム・マグネシウム・亜鉛・カリウム・ナトリウム・クロム・リン・鉄・銅・マンガン・ヨウ素・セレン・モリブデンなど、体に必要なミネラルが全て含まれています。
生タマゴ・半熟タマゴ・ゆでタマゴのうち消化吸収が最も良いのは、半熟タマゴだそうです。
ミネラルをバランスよく摂るためにも、ぜひ活用したいですね!
タマゴ…半熟タマゴが一番消化吸収されやすい!
裏ワザ5か条を守って若々しくなろう!
ミネラルを摂る裏ワザ5か条を知っているのと知っていないのとでは、ミネラル摂取量が大幅に違ってきますね。
普段の食事にも取り入れやすい方法ばかりなので、ぜひ実践して若々しい見た目と中身を手に入れましょう!